ヒュッゲな暮らしに欠かせない「木」の魅力と、北欧インテリアとの融合
「北欧らしい家づくりをしたい!」と思ったときに、目にすることが多いのが「ヒュッゲ」という言葉ではないでしょうか?
HYGEE(ヒュッゲ)とは、「居心地が良い空間」や「幸せで楽しい時間」などを意味するデンマーク語。
大切な人と一緒に過ごす時間や、キャンドルで灯された空間でコーヒーを飲むこと、お気に入りのソファで読書をするひととき・・・。
これらは全て、その人にとっての「ヒュッゲ」です。
何かの“モノ”を指す言葉ではなく、空間の状態や経験したことなど、人が心で感じる“感覚”を表しています。
豊富な資源に恵まれた北欧において、木はヒュッゲな暮らしに欠かせない存在です。
今回は、北欧家具に使われている「木」の魅力を掘り下げたいと思います。
木だからこそ感じられる“ヒュッゲ(心地良さ)”がある
最近の家具は、複数の板を接着してつくられた「合板」によるものが多く出回っています。
合板仕上げの家具は、加工がしやすくデザイン性に富んでいるのが特長。
お手頃価格で手に入りやすいのも嬉しいポイントですね。
しかし、天然木などの加工されていない「本物の木の温もり」に勝るものはありません。
空気を多く含んでいる天然木は、触れたときのヒヤッと感がなく、じんわりとやさしい温もりが感じられます。
フローリングに無垢材を使えば、夏はサラっと、冬は温かみを感じられる空間に。
この心地良さは、スリッパを履くのがもったいないほど!
一年中素足で過ごしたくなる、快適なお部屋に仕上がります。
加工された素材からはなかなか感じることのできない「ヒュッゲ(心地良さ)」も、本物の木だからこそたどり着けるものなのです。
味わい深い経年変化が美しい木製家具
木製家具は“肌馴染みの良さ”が魅力
床材はもちろん、テーブルや椅子など常に直接身体が触れている家具は、肌馴染みの良いものを選びたくなります。
北欧由来の木製家具は、上質な素材でつくられていることに加え、流行に踊らされないシンプルなデザインがとても素敵です。
天然木ならではの木目や節など、同じデザインの家具であってもひとつひとつ表情が異なるので、唯一無二の特別感があります。
ファブリックとの相性も抜群なので、マリメッコなどインパクトのある柄のクッションと組み合わせて、とことん北欧らしさを追求したインテリアを楽しむのも良いですね。
木の家具とともに年を重ねる
無垢材や集成材でできた木製家具は、肌触りの良さだけでなく、経年による美しい変化を味わえる点も魅力です。
たとえば、ハンス・J・ウェグナーの「Yチェア」やブルーノ・マットソンの「マルガリータ」など、北欧家具で採用されることの多いブナ(ビーチ)材。
最初は薄いピンク色を帯びた白っぽい木肌ですが、使うごとにだんだんと褐色に変化していくのが特徴的です。
人が年を取って変わっていくように、木の家具も徐々に変化していきます。
劣化してしまう部分ももちろんあるでしょう。
愛用しているからこそできる無数のキズでさえも、家族の思い出の一部なのです。
上質でデザイン性の高い家具は、親から子へ、そして孫へと引き継がれていくことも少なくありません。
人生をともに歩んできた家具は、家族の歴史を刻み、ひとしおの愛着が込められています。
変わることを楽しめる心の余裕も、ヒュッゲな暮らしに大切な要素といえるのかもしれませんね。
デザイン性の高い木製のおもちゃは、インテリアにもなる
木の魅力は、内装材や家具だけにとどまりません。
ヨーロッパの“木製のおもちゃ”も、木の温もりが溢れていてとても素敵なんです。
スイスのNaef(ネフ社)や、ドイツのGrimm’s Spiel & Holz Design(グリムス社)などは、木のおもちゃメーカーとして有名。
カラー積み木「アーチレインボー」は、モンテッソーリ教育などの知育に詳しい方であれば、よくご存知ではないでしょうか?
その特長は、一見おもちゃとは分からないほどのデザイン性の高さ。
子どもの想像力や独創性などを育むことを目的としてつくられたものではありますが、大きくなって遊ばなくなった後もインテリアとして飾って楽しめます。
子どもの健やかな成長を見守る「木製のおもちゃ」は、家具同様に家族の思い出が刻まれたアイテムです。
インテリアとして楽しんだ後、孫が生まれれば、また再びおもちゃとしての役割が復活します。
持ち主の成長に合わせて役割を変えながら、長く楽しめる木のおもちゃは、SDGsにも貢献しているのです。
自然とのつながりが、ヒュッゲな暮らしを作り出す
自然に囲まれ、自然に寄り添う暮らし方は、人間が本来持つ生きるチカラを引き出すものです。
観葉植物などのグリーンに心が癒されるのも、自然の力が私たち人間の心身に影響を与えているから。
自然素材でできた空間での生活こそが、「ヒュッゲ」といえるのかもしれません。
本記事ではここまで木の魅力についてお伝えしてきましたが、木材だけでなく、日本の伝統的な畳や竹、珪藻土、和紙なども自然素材です。
北欧らしい洋風な家づくりも素敵ですが、和の空間でも「ヒュッゲな暮らし」を叶えることができます。
大切なのは、自然とのつながり。
家具やおもちゃなど、常に目に触れ、肌に触れるものたちは、自然から生まれた本物の素材にこだわりたいものですね。