細部までこだわる、自分だけのアトリエのような家
幼い頃からの夢、「アトリエのような家」に住みたい
高いビルが立ち並ぶ都会から抜け出し、最寄駅で降りる。
駅前の商店街も通り過ぎ、すこし進んだ先に、どっしりとした白い漆喰の壁、深い赤色の大きな三角屋根が印象的な我が家が、ポツンと見えてきます。
その先にはうっすらと山が見え、周りに高いビルなどもなく、空が高く風が通って気持ちが良い。
家に近づいて行くにつれ、毎度ほっとする様な、ワクワクするような感覚になり、それはまるで、幼い頃におばあちゃん家の空き部屋の隅っこに作った、親や友達も知らない、自分だけのアトリエにこっそり帰ってくる時のような感覚になります。
当時のアトリエには、こっそりコレクションしていた瓶蓋や、拾った綺麗な石が置いてあったり、簡易的な机を作り、他の人に邪魔されることなく、落ち葉やお花で物を作ったりしていました。
それが今、マイホームという形を変えて私のことを毎日迎え入れてくれています。
自分にしかわからない、細部な部分までこだわり抜いた、幼い頃夢見ていた「アトリエのような家」に毎日帰ってくることは、この上ない贅沢であり、幸福感を感じます。
自分の中の童心をくすぐる好きが詰まった空間
家の近くまで行くと、職人さんが手作業で塗ってくれた漆喰の壁が、玄関前のブラケット照明のオレンジな光が当たり、夜の青紫な空に、まるでゆらゆらと浮いているように見えます。
手作業ならではの漆喰の凹凸と、光のゆらめきが幻想的で思わずうっとりしてしまう。
その漆喰壁に取り付けられている玄関の重厚感ある扉は、表情豊かな木目が印象的な古材でできており、玄関前の照明が当たると赤茶色の色が鮮やかで、かつ表面に塗ってあるオイルが艶やかに光る。
高級感があるけど、暖かさを感じるのは、木ならではの魅力であり、自然な素材だからこその味。
自然素材のため、湿気や気温などの環境によって、変形してしまったり、日に当たったりすると変色もしてしまいますが、メンテナンスをしていくことで、空間に馴染んでいき、「経年劣化」ではなく、「経年変化」になり、他にはない魅力的な存在になっていくのも、自然素材で家を作る上で価値が高い点だと感じます。
そしてこの家を外から眺めていると、まるで幼い頃読んでいた絵本の中で出てくる、異世界への入り口にいる様な感覚になり、思わずワクワクしてしてしまいます。
家の中ももちろん、自分がワクワクするようなカラクリが沢山詰まっています。
リビングや寝室のカーテンレールの上には、ダウンライトを仕込んでもらい、古材で棚を一段作り、幼い頃から大切にしている思い出の置物やプラモデル、旅行先で買ったインテリア雑貨などをかっこよく素敵に飾りたいという一つの夢が叶いました。
さらに、家の随所にアーチ型の「空洞」を作ってもらい、自分のお気に入りの骨董品や、植物などをオブジェとして飾ることで、一見すると無駄に見える空間が、自分にとってたまらなく愛おしい場所に。
幼い頃の「アトリエ」も自分にとってかけがえのない素晴らしいものでしたが、大人になった今つくる「本気のアトリエ」は、さらに機能的で、自分の生活がより快適に、そして日々の癒しになっていることをあの頃の自分に伝えたいです。
これからの自分にも寄り添ってくれる相棒の様な家
賃貸に住んでいた時は、自分のクローゼットに服が収まり切らず、追加で組立式のラックをいくつか買わなくてはいけない場合もありましたが、現在は、家を設計してもらう段階で一部屋を、壁面全てに棚をつけてもらい、衣装部屋でもあり、倉庫にもできるような部屋を作ってもらいました。
自分の好きな服や靴のためだけ部屋を作ることにより、自分だけのひみつの部屋が出来たみたいで、毎日のファッションを選ぶのも、新しい服を収納するのも楽しくなりますよね。
将来的に家族が増えたり、物が増えた際、臨機応変に使える様にと考えて作った部屋でもあるので、自分のその時のライフスタイルによって変化してくれる心強い部屋になりました。
床はチェリー材の無垢材を貼っています。
一般的な複合材のフローリングはワックスのコーティングでツルツルしすぎていて、ふとした時に滑ってしまったり、重いものを落としてしまうと、傷が目立ってしまいますが、無垢のフローリングを使用することで、木肌が滑らかで肌触りが良くとても気持ち良いです。
インテリアに似合うような可愛いスリッパも用意しましたが、あまりの気持ちよさに裸足で移動したくなります。
その気持ちの良い感覚は、幼い頃おばあちゃんの家に夏休みで遊びに行った時、よく廊下のフローリングに寝そべっていた感覚に似ています。
その時は自覚していなかったけれど、無垢材の気持ちよさを感覚的に全身で感じていたんだなぁと大人になった今、この家のフローリングを踏んだ瞬間思いました。
自然ならではの木目の凸凹も程よく足裏で感じられるため、滑る心配もなく、自分が高齢になった時でも、両親が家に遊びに来た時も安心して、生活することが出来ています。
自然素材以外では、生活動線にもこだわっており、洗濯機置き場の横の部屋にランドリースペース、そして一階に畳の部屋も作ってもらいました。
畳の部屋は、時には子供が遊べるスペース、時には来客用の寝室に早変わり。新しい畳の香りってなんであんなに落ち着く匂いなのでしょうか。
リビングのソファでゆっくりするのも好きですが、張りたての新しい畳の香りを楽しみながらコーヒーをお供に読書するのも良いですよね。
そんな居心地の良い畳の部屋は、将来的に高齢になった時、例えばベットで寝ることが困難になったり、2階まで移動が難しくなった時のことを考えた時に、何十年後も快適に過ごせるように設計者さんと時間をかけてこだわった思い入れの強い部屋でもあります。
自分のライフスタイルによって変化できる部屋を作ったり、フローリングや、壁の漆喰、、カウンターやキッチンの壁のタイルも全て、自分で選んだ自然素材で出来ているため、時間の経過と共に色味や風合いが変わっていくため、経年変化を感じられます。
自分も歳をとっていくと共に、家も同じ時間が過ぎていく。
それはまるで、これからの自分の人生を一緒に歩んでくれる相棒のような感覚にさせてくれます。
自分のこれまでと、これからを支えて見守ってくれる存在
幼い頃夢見ていたアトリエのような、自分の好きやこだわりが詰まった空間で過ごすことの贅沢さを感じれる家で日々を生活することで、生きるうえでは最重要ではないけれど、なかったら人生が味気なくなるものが、自分の心のゆとりになり、その大切さを教えてくれるかけがえのない存在です。
これからの人生の変化にも対応できる相棒のような家でもあり、自分の中のワクワクをくすぐる友達の様な存在でもあるこの家は、規格建材で作られていない、自然素材で一つ一つ手作業で作られた家だからこそなのではないでしょうか。
これから、自分も、この家もどのように歳をとっていくのか、のんびり一緒に生活しながら生きていくことが楽しみです。